ミステリー小説における主人公の女性の恋愛事情
これは成瀬心美が語った一部始終です。おもしろいアメリカのミステリー、つまり推理小説を見つけました。主人公のアニーはサンフランシスコ在住の芸術家で、32歳の独身の女性です。アメリカで芸術家というと感動的な絵画を描く人から意味不明のオブジェを創作する人まで多種多様ですが、アニーの仕事を正確に言うと擬似塗装師(フォーフィニッシャー)となります。
彼女の仕事の一部を簡単に説明すると、壁に有名絵画を真似て描くことでしょうか。きっとお金を払えば、あなたの自宅の壁に『モナリザ』だって描いてくれるはずですよ。
彼女の祖父は腕のいい贋作(がんさく)師、つまり本物の絵画とそっくりな偽物を描くプロです。自分の描いた贋作を偽物だと言って売るのは犯罪ではありませんが、アニーの祖父の絵は本物として世界中の美術館で飾られているそうです。これは完全に犯罪行為です。
もちろんアニーの祖父は絵画泥棒とも取引があるようですが、倫理観念のしっかりしたアニーはその類の犯罪には関わらないように気をつけています。
さてミステリーには殺人事件が必要不可欠で、事件を捜査する主人公を助ける独身の男性や情報提供をしてくれる警察官がつきものです。「主人公の恋人となる男性の警察官(もしくは刑事)」が登場すれば、一人で3役(主人公の助け役・恋人役・情報提供者)がこなせます。
このようなミステリーは単に殺人事件を読むだけでなく、登場人物たちが繰り広げる日常生活も楽しめるようになっています。要するに主人公がお年頃の女性であれば、事件解決への手助けとなるような男性が出てきて、多くの場合はそこに恋愛が発生します。
この本ではイケメンが2人も登場します。1人でいいのに2人もいるということは、どちらかがアニーの恋人になることが想像できますね。
では2人の男性をご紹介しましょう。まずマイケルですが彼は顔も体つきも完璧で、財布の中身まで完璧なプロの絵画泥棒。「素敵って言葉じゃたりないくらい素敵な男性」なのだそうです。
そしてフランクはアニーのスタジオが入っているビルの所有者で、美術品運送業も経営しています。堅物でマジメですが、顔も悪くなければ体つきも引きしまった筋肉質ということですから、かなりいい線をいっていると思います。彼にはイングリッドという恋人がいるとフランク本人は言っていますが、私はイングリッドは仕事上の必要性から作り上げた架空の恋人、もしくは恋人ではない彼の仕事仲間ではないかと疑っています。
アニーもイングリッドは実在しないと思っているふしがありますし、彼女の芸術仲間の間ではイングリッドが初めて目撃される日をめぐって賭けが行われているそうです。もし私がその中にいれば、「イングリッドはフランクの恋人ではない」に20ドル賭けたいくらいです。
この2人の男性を比較してみると、どう考えてもアニーが泥棒であるマイケルを選ぶとは思えません。けれどもフランクを選んでしまっては、マイケルの活躍が減ってストーリーが単調になってしまいます。
私はアニーがどちらか1人を選ばすに、両者とくっつかない程度の距離をギリギリ保ったままシリーズが進んでいくのではないかと思っています。
ああ、もう3巻が待ちきれません!